再生医療製品、核酸医薬品、遺伝子治療
ヒト細胞医薬品、核酸医薬品、遺伝子治療などの再生医療等製品の開発は、薬剤等による治療法が存在しないアンメットニーズの疾患・治療分野を対象とする場合が多いので患者数に大幅な制限があり、多人数での臨床治験による検証を要求する通常の医薬品開発スキームの適用が難しいこと、及びヒト細胞等を使用する製品の特性として品質が不均一であり有効性の予測が困難であること等から、通常の医薬品開発・申請と比べ早期での承認・申請が可能となっています(条件・期限付き承認制度)が、欧米でも早期の実用化を目指した承認制度(優先・迅速承認制度、優先審査制度)や再生医療先端治療(Regenerative Medicine Advanced Therapy)制度がありますので、再生医療等製品の開発に於いては安全性や有効性を担保する製造管理や品質管理を開発段階の早期から確立させることがグローバル標準となっています。
再生医療等製品(特に細胞由来製品)では製品の均一性確保が難しいとの特性から、製品規格への厳格な適合による品質保証の実施よりも製造工程のコントロールによる製造管理に基づく品質保証が重要となり、製品の重要品質特性(CQA)と製造プロセスの性能パラメター(CPPやKPP)との相互関係の理解と工程内試験等による目的品質を有する製品の安定的製造への管理戦略の設定が不可欠です。
また、バイオ製品と同様、無菌環境やウィルス管理が徹底されたGMP適合施設での製造、試験の管理が必要であり、GMPに高い専門性を有する者によるマネジメントが必要なのです。
また条件・期限付き承認制度下で製造販売許可が得られても、医薬品の製造や品質管理の適切性の証明として要求される有効なバリデーションを成立させる程のデータが得られていないことから、7年以内に再度承認申請を行うまで継続的に安定的製造状態を検証(verification)する活動が必要であり、またその結果として実施された製造管理や品質管理が適正であったことを証明することで正式な承認を獲得できることとなります。従って適切な品質リスクマネジメント実施と製造記録作成などの社内品質システムの運用が必要となり、特に、無菌性管理、原材料管理、設備機器の稼働適格性管理に関してはマスタープランに基づき適切なデータ収集と解析が行えるマネジメント体制を確立しなければなりません。さらには、欧州では、病院等の治験施設での再生医療等製品の再調整(reconstitution)に関する訓練・指導や手順の情報提供も原則製造業者の義務とされています。
さらには、遺伝子組換え生物等を使用した再生医療等製品の製造にはカルタヘナ法に基づく第一種若しくは第二種使用への許可対応が必要となり、生物多様性への影響評価などその申請書作成には専門的な知識が必要となります。
このように再生医療等製品の開発・申請にはバイオ医薬品に比べ種々の多くの問題に対する事前検討と対策が必要であり、規制当局との頻繁な折衝を通じて解決することが早期承認への近道となることが日米欧での常識となっています。PMDAも開発初期からの相談に積極的に対応応してくれていますが、特に治験開始前の治験計画の届出時に添付する資料では有効性、安全性に関する科学的なエビデンスが要求されることから、事前の調査やデータ収集を含む申請戦略が必要となります。
ノブマル製薬コンサルは製品特性に合わせて適切な品質保証の実現に向けた管理戦略を開発段階に応じて検討するとともに、商業製品の製造や試験、流通を予定する各施設に於けるGMP/GCTP/GDP対応に向けた種々の課題の早期特定と解決について支援致します。下記に支援内容について例示します。
- GCTP部門の品質マネジメント体制確立(品質リスクマネジメント)
- 無菌操作の適切性保証(施設、設備機器等の無菌性保証やプロセスシュミレーション)
- ドナースクリーニングや適格性判定試験への対応
- 生物原材料基準対応(ICH対応)と関連する細菌やウィルス試験
- 原材料のサプライヤー管理(リスク分析と契約書)
- 製造プロセスの最適化と製造記録及び管理記録マスターの制定
- 品質特性や管理パラメータの抽出と管理戦略の策定
- ベリフィケーション及びプロセスバリデーション(プラン検討)
- 工程管理試験、特性解析試験及び規格試験法の確立(ICH対応)
- 各種実験計画書や報告書、出荷試験等の適格性保証(データインテグリティ)
- 施設内、施設外での輸送中の安全性、安定性確保の条件検討
- 薬事戦略相談対応(開発戦略策定、相談資料作成、対面助言対応)
- 承認申請書作成支援(紹介事項回答)
- 再生医療製品に関する欧米の法規則及び規制当局(FDA及びEMA)の査察動向
その他に、再生医療等製品の分野ではバイオ製品に比べて多種類の関係書類の作成についてその適格性と維持保管の保証が求められており、堅固なドキュメントシステムの構築も必要です。
さらには、遺伝子治療分野などでは安全性の高いベクターや基材等の入手に関する調査など法規則で要求される有効性と安全性の確立に関するご相談などに対応できます。